Q.雇用保険事務の手続きにあたり、従業員からマイナンバーの提供を拒否された場合、どのように対応すればよいですか?

 まず、どのような理由で従業員の方がご自身に係るマイナンバーの提供を拒否されているのかを再度確認するようにしてみましょう。
 その上で、例えば、会社(事業所)として、国が示すガイドライン等で要請されている安全管理措置等の体制整備が整っていないことが理由であれば、会社として早急に体制整備をすることが必要です。

 一方、体制整備が整っているにも関わらず、従業員の方がマイナンバーの提供を拒否されているのであれば、会社が実施している安全管理措置等の体制整備についての周知が徹底されていないことが懸念されます。したがって、従業員の方々におけるマイナンバーの利用目的の通知をはじめ、収集方法、保管方法をどのようにするのか、漏えいしないための措置をどのようにしているのか?等々を、改めて説明し理解を求める必要があると言えます。

 それでもなお、従業員の方々がマイナンバーを拒否するようであれば、雇用保険法に係る届出事務に関して、会社は従業員のマイナンバーを記載して届出することが義務として要請されていることを説明し、マイナンバーを会社に提供してもらうよう、協力を求めるようにしましょう。

 ここまでのステップを踏んだ上で、それでも拒否されるような場合は、会社としてはどうしようもないことですので、提供拒否理由をはじめ、提供を求めたが拒否された顛末を記録した上、マイナンバー記載欄を空欄として届出することが現実的な対応になると考えられます。

 もっとも、会社として提供拒否された従業員の方に対しては、マイナンバーを記載せずに届出することは、法定の様式を満たした届出とはみなされない可能性が高く、仮にこれによって不利益が生じた場合は、従業員であるご本人に受け入れてもらうことは事前に確認しておくべきでしょう。


 これらの提供拒否事由が生じた場合の対応方法として、厚生労働省においても行政見解が示されております。
 以下に抜粋しましたので、ご参考ください。
 

 

Q.従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。
 雇用保険手続の届出に当たって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空欄の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。
※個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。

 その場合であっても、法令上定められた届出期限内(注)での届出をお願いします。
注:届出期限
・雇用保険被保険者資格取得届:雇用した日の属する月の翌月10 日まで
・雇用保険被保険者資格喪失届:離職日の翌々日から10日以内

 

 

Q.従業員から個人番号の提供が受けられなかった場合は、どのように対応すればよいか。
 個人番号の提供が受けられなかった場合は、提供を求めた記録等を保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
 経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは、提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

 

 

Q.従業員の個人番号を届出しなかった場合に、ハローワークから督促等がされるのか。
 事業主の個人番号の届出は法令で定められた義務ですので御理解・御協力をお願いします。
 また、個別に個人番号の届出の督促を行う予定はありません。


〔出典〕厚生労働省「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A(平成28年2月8日版)Q10,追加Q11,追加Q12」参照