Q.一人親方の場合も、社会保険に加入しなければなりませんか。

 建設業界では、若年技能者の処遇改善・若年層の労働力確保策として、厚生労働省と国土交通省が協同し、社会保険の未加入事業所を一掃する取り組みが平成24年度より開始されています。

 この具体的内容ですが、社会保険に加入義務があるのに加入していない事業所に対し、一定の指導期間を経ても改善がされなかった場合は最終的に建設業許可を取り上げるというものです。

 この流れのなかで、工事を請け負う際、元請会社より“社会保険制度に加入しているか否か”の確認を求められる傾向にあります。仮に、加入すべきであるのに加入していなかった場合は、現場の入場制限措置を受けるケースもあります。
 しかしながら、各現場で様々な情報が錯綜しており、情報解釈の違いをめぐって、法律で定められた加入基準に該当しないケースにまで、社会保険への加入が必須であるかのような誤解が生じていることも事実です()。そこで、一人親方であって社会保険に加入すべきケースと、そうでないケースを確認しておきましょう。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入について


 上記図表は、建設業を想定し、社会保険の加入基準について可能な限り簡略化してまとめたものです。この図表を基に確認していきましょう。

 一人親方の場合、ご自身の事業所が、個人経営か法人経営かによって社会保険への加入判断がわかれます。まず、個人経営である一人親方の場合は、社会保険に加入することができません。したがって、このケースに当てはまるのに、元請会社等から加入するよう指導があった場合は、法律上加入したくてもできない旨を説明する必要があります。
 一方、法人格を有して事業をしている一人親方の場合(いわゆる「一人法人」のケース)は、社会保険は強制加入とされていますので、加入しなければなりません。

 最後に、個人経営の一人親方が、お一人で事業を運営されているうちは社会保険の問題が生じませんが、今後事業拡大に伴い、労働者を5人以上雇用した場合、雇用している労働者の方々について、社会保険への加入手続きが必要になりますので注意が必要です(上記表のうち、個人事業所で常用労働者5人以上の欄を参照)。

 なお、建設業の一人親方労災保険への加入を希望されている方は、当センターの関連団体 一人親方共済会 までお問い合わせください。随時、加入申込みを受け付けております。
 

この点について、現場に正しい内容が周知徹底されるよう、国土交通省のホームページにおいて情報が公開されています。以下は、国土交通省が作成した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおける現場入場の取扱いについて ~ 一問一答 ~」です。


詳細はこちらの国土交通省の該当ページをご覧ください。